
\\ 生物生産科学科 原光二郎先生のおすすめ図書 //
書名:遺伝子命名物語 : 名前に秘められた生物学のドラマ
著者:坪子理美, 石井健一 出版社:中央公論新社, 2021年
🔻推薦文
私の大学院時代のテーマは、植物が傷(wound)を受けたときに働く遺伝子の探索と解析でした。運良くいくつかの傷害誘導性遺伝子を見つけることができ、そのひとつに構造的特徴から「WIZZ(Wound-Induced leucine Zipper/Zinc finger)」と標準的な名前を付けました。本書を書店で見かけたとき、院生の頃の記憶がよみがえってきました。当初、遺伝子名の由来をまとめた辞典のようなものだろうと思っていましたが、実際に読んでみると、遺伝子が発見されて名付けられるまでの過程を、生々しい人間ドラマとして紹介している内容でした。遺伝子を発見し、命名するという役割を担うのは、多くの場合、大学院生やポスドクといった若手研究者です。本書では、輝かしい成果の裏側にある試行錯誤や葛藤など、研究の最前線に立つ若手研究者たちのリアルな姿を垣間見ることができます。この点で、博士後期課程に進もうと考えている学生さんには参考になると思います。また、本書には遺伝子発見にまつわる様々な生物種や生命現象、実験手法が登場しますが、難解になりがちな学術用語も巧みなたとえを用いて説明されているので、専門知識がなくても無理なく読み進めることができます。研究者にとって、遺伝子に名前をつけるということは特別な楽しみだと思います。なので、遺伝子の名前には、研究者たちの思考や遊び心、苦労が刻まれています。本書を読むと、研究の世界を少し違った角度から知ることができると思います。余談ですが、私自身には本書に登場するような劇的なエピソードはありません。ただ、分厚い英語辞書で遺伝子名に使えそうな単語を調べまくったことや、「WORT(WOund-Responsive Transcript)」という単語に英語の古語で植物(セントジョーンズワートの「ワート」)の意味があることから遺伝子名の候補になったことを未だに覚えています。
\\ お知らせ //
一日一書の作品が変わりました!
今月最初の一日一書です!
今月もよろしくお願いします😀 pic.twitter.com/RStwRuBLhB— 秋田県立大学附属図書館(秋田キャンパス) (@akic_lib) September 30, 2026